〔2〕人材育成の難しさ

現在、多くの企業が人材育成に力を入れていますが、その理由をどのようにお考えですか。

原

経営層や管理職の方からお話を伺っていると、やはり企業の業績が堅調に推移していること、不況時に人材育成が後回しになっていたこと、それと最近よく耳にするようになりました「人間力」ということを企業が真剣に考え始めたことなどが背景にあると思います。

加藤

企業は人の集まりです。社員の活躍で企業価値を高めるために「人間力」に着目されている企業が増えているのではないでしょうか。「人と人とのかかわり合いで生まれる融合や葛藤の中で本当に目指すべきものが明確になり、より高い品質の商品やサービスが生まれる」ということは実際に私自身が経験してきたことです。近ごろは、人とかかわるうえで基本的なコミュニケーション能力が不足している方が増えているように感じます。時代環境の変化とともに人の育ち方も変わってきました。時に周囲とぶつかり合いながらコミュニケーションの方法を学んでいた時代とは異なるのです。たとえ自己表現は上手くても人の話が聞けなかったりコミュニケーションがとれなかったりすると、その人の人間としての成長はもちろんのこと、企業の成長をも阻害することが危惧されます。このようなことから、社員一人ひとりの成長が企業価値の向上につながることを多くの経営者の方が強く認識するようになったのではないでしょうか。また、競争の激しいビジネスの世界ではハード面での競合他社との区別化は難しく、ソフト面、特に人的サービスを強化しなければならない、という差し迫った課題があります。その一方で、先ほど申しましたようにコミュニケーションの不得手な方が増えているという事実もありますので、少し大げさな表現になるかもしれませんが、生き残りをかけて人材育成に力をいれようとする企業が増えているのではないでしょうか。


研修を通じて、教育研修の難しさについてはどのようにお感じでしょうか。

宮崎

私の場合は「ヒューマンエラー対策セミナー」の講師として企業等を訪問する機会が多いのですが、実際に事故や不具合が発生する現場には、関係会社や協力会社など複数の企業が混在し、更には雇用形態もさまざまです。そのような現場において一部の人だけを対象とした研修で実効性をあげることの難しさを感じることもあります。逆に、色々な立場の人が参加する研修では、意識の共有が難しいケースもあります。


坂部

育った時代や環境の異なる多種多様な価値観の人が集まる今の企業では、経営層や管理職の方が自分の言葉で、例えば研修の目的や期待していることを伝えることがとても重要なポイントになると思うのですが、中々伝えきれていないのではないでしょうか。そのことが、受講者の目的意識の曖昧さにつながっていると感じることがあります。目的意識が曖昧ですと研修開始時の雰囲気が沈みがちで、雰囲気を盛り上げるのにいつも以上に時間を要することもあります。