
前の話(第1章〔3〕)の続きになるのですが、お客さまの「想い」を研修内容に落とし込むということ、それはとりもなおさずお客さまの実情に即した研修を組み立てるということです。当然、研修の成果にも直結します。ですから事前の打合せは大切なプロセスだと考えています。


研修の成果という点では、受講者が前向きに受講できるように研修の内容を工夫することも大切なポイントですね。例えばロールプレイングを取り入れて実習の時間を増やし、参加型の研修にするといったことです。また、ロールプレイングではその場でできるようになるというよりも、いかにできていないかに気づく、という意味合いが強く含まれています。気づき、変わるきっかけになることが研修成果の一つと考えているからです。それと研修のときは受講者とのコミュニケーションを大切にし、講師が一方的に語る場にならないよう注意しています。どんなに短い時間の中でも、受講者との「心のキャッチボール」を時間の許す限り取り入れて進めるようにしています。
事前の打合せでは研修内容だけではなく、予算や時間など色々な条件も確認させていただき、どのようなスペックで研修を実施するのが効果的か、ということもご提案しています。一例をあげると、経営層や管理職の方には人数制限のない講話スタイルの研修を実施し、一般職には定員20名の2日間研修を実施するといった提案です。各社各様の事情があると思いますので、お知らせいただければ極力それを踏まえてご提案するようにしています。
研修は即効性という意味では効果はあらわれにくいかも知れませんが、ちょっとしたことで効果を高めることはできます。一つ例をあげると、先ほども出てまいりましたが、研修の前に上司の方や研修の企画担当者が研修の位置づけや目的をきちんと伝えるだけで、受講者の目的意識は高まり、研修効果にも影響します。

研修の目的ですね。目的を明確にしておかないと、たとえ二日かけた研修でも持ち帰るものがないこともありますね。ですから私は、受講者にあなたはこの研修で何を得たいのか、期待するものは何か、という質問から入ることもあります。目標がはっきりしていないと、ただ研修を受けた、面白かっただけで終わり、仕事に活かせないということになり兼ねません。私たち人材育成にたずさわる研修機関と研修を企画する担当者や経営層の「想い」が両輪になり、目的を掲げていかないと高い効果は中々出てきません。

私どもの研修を導入していただくとき、経営層や上級職の方にオブザーブ(聴講)でも構わないのでポイントの部分だけでも参加してくださいとお願いします。受講者がどのような研修を受けているのか、どういう雰囲気の研修なのか、これを体感していただくことはとても大切です。
上級職の方が参加するのは大事ですね。研修を体感していただくことも大切ですが、研修の中には当然幾つかのキーワードが出てきますので、このキーワードを受講者と上級職の方が共有することも研修の成果を高めることに結びつきます。「ヒューマンエラー対策セミナー」では“エラーチェーン”や“SHELモデル”といった言葉が出てきますが、これらのキーワードを共有してほしいです。
「接遇&マナー」では上級職の方に接遇研修を実施することがあります。その中で人を育てる方法の一つとして「ほめる」ことの大切さ、ほめる文化、ほめる風土がいかに人を育てるかをお伝えしています。「ほめる」というのは一種のコミュニケーションですね。ほめられれば誰でも嬉しいですし、気持ちも前向きになります。
研修を受けてきた人に上司の方や周りの人はぜひ声をかけてほしいです。できれば多少無理をして探してでもほめてほしいですね。「研修の成果がでているみたいだね」、「そんな事まで学んできたの!」等々、声をかけること、ほめることで研修の成果は大きく高まります。

研修効果を高めるという点からは多少外れますが、普段から「関心」を持って接することが大切ですね。人間の成長のリズムはそれぞれですので、あるとき急に伸びる人もいます。ですから、ある時点で決めつけないで、一人ひとりの成長過程を「関心」をもって見ながら、できたときにちょっとでも声をかけ、ほめてあげることがとても大切です。
更に、「怒る」のではなく「叱る」、加えて「ほめる」。今の管理職の方は自分たちがあまり叱られず、あまりほめられずに育ってきたので、叱ることもほめることも下手だとはよくいわれますが、意識して実行することを心がけていれば必ずできるようになります。
研修の成果を高めるということに話を戻すと、研修前後の上級職の方と受講者とのコミュニケーションがポイントになるということです。特に上級職の方からのコミュニケーションが大切になるのですが、その基本は「関心」と「愛情」と「熱意」を持って向き合い、そして「ほめる」ことですね。